ホタルは古くから日本の夏を楽しませて来た生き物でした。平安時代には短歌に読まれ、江戸時代には浮世絵などに蛍狩りを行う姿が描かれます。現代は環境が汚染されたことで数を減らしましたが、保護活動が行われたことで少しずつ、復活しています。新潟は現代でも生息地が多く、たくさんの鑑賞スポットがあります。
夏の風物詩”ホタル”が新潟に多数生息する理由
新潟県は全国的に見てもホタルの生息地が多く、県内全域に分布しています。これは、同県にホタルが生息するための環境が多く残っているからです。その一つが新潟の特産品でもあるお米——つまり水田。水中の苔に卵を生むホタルらにとって、水はとても重要な産卵場所。それが豊富にあるのは、非常に大切な要素になりました。また、農薬の利用が少なく餌となる生き物の数が多いことや、水のきれいな小川があることもプラスに働いています。
新潟市内のホタル観賞スポット
ホタルを鑑賞できる県内の人気スポットをご紹介します。
・岩室温泉冬妻ほたる
新潟市の南にある岩室温泉。この側を流れる岩室払川には、多くのホタルが生息しています。この地域では「冬妻ホタル」とも呼ばれ、地域の人たちの手によって沢の整備などの保護活動が行なわれているようです。
・弥彦公園
岩室温泉からさらに南に、県を代表するパワースポットの一つ、弥彦神社があります。神社のある弥彦山の麓の弥彦村は自然豊かな地域で、川の水もきれいな場所です。弥彦公園を中心に周辺の川でホタルの鑑賞が行えます。
・雪国植物園
長岡市にある植物園です。外来植物や園芸植物などを一切入れない作りで、雪国の里山を再現しています。このような里山の環境は彼らにとっても最適な環境でもあるため、ここでは数多くのホタルが見られます。
・しらさぎ森林公園
三条市にあるしらさぎ森林公園は、花菖蒲の咲くことで有名な公園です。ここはホタルの鑑賞スポットでもあり、ちょうど花菖蒲の咲く時期とかぶるので、昼には花菖蒲、夜には花菖蒲の周りを飛ぶホタルという幻想的な光景が見られます。
・大天城公園
新発田市大天城公園の側にある市道大天城改良線の沿線は、地元住民の手によりホタルの繁殖と保護の行われた地域です。夏になると大天城公園付近にかけて、たくさんのホタルが見られます。
いつ頃見れる?新潟のホタルシーズンは?
ホタルの寿命は短く、約1年程度と言われています。そのほとんどは幼虫として生活し、桜が咲く頃になると土の中に潜ってサナギになり、1ヶ月ほどしたら土の中から出てきます。新潟では成虫として表にでてくるのが6月中旬ごろ、それから約2週間の7月上旬頃まで交尾のため活動します。
この様に、シーズンはだいたい6月から7月にかけてとなります。地域によっては早く飛び始めるところもあるので、現地の観光協会などに問い合わせてみましょう。
「ホタル観賞の注意点」
ホタルという生き物は環境に強く左右されるデリケートな生き物です。そのため、鑑賞にはいくつかの注意点があります。
・明るくしない
鑑賞は夜間になるので、懐中電灯などのライトを利用するかもしれません。しかし、利用はできるだけ控えるようにしましょう。明かりが強すぎて、ホタルの活動が妨げられる可能性が非常に高くなります。同様にスマホの光やカメラのフラッシュ、車のヘッドライトもいけません。懐中電灯を使う場合には赤いセロファンをつけると影響を少なくする事ができます。
・持ち帰らない
先に述べたように、生息数が減っており、種類によっては絶滅の危険もあります。このため、地域によっては条例で保護され、捕獲には罰則がつくこともあります。
ホタルは日本全国に分布していますが、特定の環境下でなければ見られなくなった生き物です。新潟県では平野部の各地にはその環境がたくさん残っており、それだけ自然豊かな県でもあるという証拠でもあります。新潟にお住まいの際には、ホタルのすむ里を散策してはいかがでしょうか?